マイホからミリオンゴッド凱旋が外されて、ある男性の姿を探しました。業界では中武さんが有名ですが、私の中のGODおじさんはあの人です。

おそらく70代半ばでしょう。真っ白なおぐしはきちんと整えられ、やんごとなき雰囲気。長い足を組んで外国の煙草をくゆらせながら、のんびり打っているところをよく見かけました。白洲次郎に似ているので「次郎さん」と秘かに呼んでいます。

ミリオンゴッドがお好きなんでしょう、たまにパチンコを打っておられるんですが、パチンコもミリオンゴッドだったのには少し笑いました。

グランドホテル方式

あしの氏がホールで見かけたヅーラ・シェイカーさんについて書かれていました。笑って、どこか切なくなるようなお話でしたが、これって何も彼の知るお店だけではありませんよね。

ひとつのお店に色々な客がいる。耳毛ボーボボーからダーイシから凝視おじさんらクセモノから、次郎さんまで。女性はキャディに能町さんに昭和アイドルから、オババまで。オババだけなんでダイレクトなのかはいつかまた。ちなみに凝視おじさんは、吉田剛太郎さんにそっくりなので剛太郎と呼んでいます。なんで呼び捨て。

ホールって本当に──。恋すろっとでも書きました。当たり前の話ですがその誰にも人生があり、ドラマが繰り返されている。私はあれこれと夢の話をよくしますが、映画が好きなので、いつかショートフィルムを撮りたいなと思っています。シナリオはまだ1本しか書けてませんが、全ての話がどこかでつながっている。群像劇ってやつです。

去年でしたか、次郎さんがカウンターに並んでいる時でした。後ろにつくとスッと振り返り、えっ?目が合った瞬間、パチン☆

なんとウインクされたんです。人によってはキモ案件だろうけれども、さり気なくてとっても素敵でした。ここで、Heaven, I’m in heaven…と流れてきたならダンスホール。彼はアステア、私はジンジャー・ロジャース。チンジャオロースじゃないですよ。

一瞬ビックリして、すぐにうふふと微笑み返して、終わり。ほほ寄せあってステップを踏む展開にはなりませんでした。マイホでは絶対に知り合いを作らないという鉄の掟が私を縛ります。そう、縛られてる。もし彼が凱旋と共に卒業していなければ、掟破りの逆サソリ挨拶くらいはしてみようかな……。後期高齢者男性と中年女性の歌劇が、1本書けるかも知れませんね。

この頃、マイホにあまり行かなくなった事もありますが、次郎さんの姿が見えず、なんとなく気になります。第3波もやってきて、気温もグッと下がりました。そういや、しばらくボーボボーも見てないな……。こうしてさまざまな人がいて、次郎さんや好きな店員さんだけでなく、苦手だなと思っていた人も、姿が見えなくなればきっと複雑な気持ちになるでしょう。いとしやな。パチンコを打っていて寂しくなるだなんて、何とも不思議ですね。喜怒哀楽。パチンコってなんだろう。改めてそんな思いが胸に広がりました。

そういえば先週のブログでガイド誌によく投稿していたと書きました。掲載された中に「マイホの安田プロ」があります。そう、煙草の吸い方、落ち着いた物腰、佇まいがよく似ているからです。当然「安田プロ」と呼んでいます。

あなたのマイホにもきっといる。そして自身もまた、誰かに何かを思われてるかも。お気を付けあそばせ。あたす?そうさねえ、ミリオンゴッデスは無理でも、せめてマナーよゐこと思われたいものです。ぶりっこオババだったりして!じゃWオババだ!


・初パチンコ:2015年(47才春)
・本業:映画ライター

・猫とプロレスを愛する東京の大阪人
・クセ強め/耳遠め
・代表?コラム

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